綾城の戯言。

ラノベや将棋など。好きなことを綴っていきます。

最近の藤井七段。

初タイトルに王手

第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局が、6月28日東京将棋会館で行われた。

戦型は第1局に続き相矢倉となり、後手の藤井七段が渡辺棋聖を90手で破り五番勝負の成績を二戦二勝とした。

 

本譜は42手目の△5四金と金矢倉の金を前に出る定跡外の手をはじめ、58手目の△3一銀の見えにくい受けの手など、終始藤井七段のペースで進んでいった。

 

藤井七段の研究してきた手であろう△5四金は従来無いとされてきた手で、ABEMA解説の藤井猛九段も

「渡辺棋聖も戸惑っているかもね。『あれ?今日はずいぶん前にくるじゃん』って」

と、あまり前例のない手に対し印象を語っていた。

 

対局後、この手に対し藤井七段は

「この局面になればやってみたかった手だった」

と、羽生九段を彷彿とさせる発言。

今後の長い棋士人生が期待が高まり、楽しみに思う。

 

 

王位戦開幕

その三日後。

第61期王位戦七番勝負第1局が、7月1・2日に愛知県豊橋市でおこなわれた。

 

第1局なので振り駒が行われ、先手が挑戦者藤井聡太七段、後手が木村一基王位。

藤井聡太七段△木村一基王位

 

戦型は角換わり腰掛け銀となり、一日目の昼食前から駒のぶつかるという研究の進んでいる角換わりらしい展開となった。

終局は二日目17時30分過ぎ。

先手の藤井七段が木村王位を95手で下し、挑戦者の藤井七段が一歩リードする形となった。

 

津々浦々、王位戦

王位戦開幕局となる本局は、「ホテルアークリッシュ豊橋」というチャペルに畳を並べた対局場になっている。

旅館の対局ではない珍しめな会場だが、空調や照明、防音などの観点から見ると現代調の悪くない対局場のような気もする。

 

第2局以降は札幌、神戸、福島、徳島と主催新聞社の所在する都市で開催される。

 

 

 明日、棋聖戦第3局。

第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局が、明日7月9日東京都千代田区「都市センターホテル」で行われる。

 

渡辺棋聖も藤井七段もハードスケジュールのなか、この棋聖戦五番勝負に挑んでいるが、さすがのパフォーマンスを保っている。

藤井七段は言わずもがな、棋聖戦だけでなく王位戦にも挑戦中。

週に2,3局を1か月ほどこなしてきているが、いつも通り調子がよい。

しかし対する渡辺棋聖も、名人戦の挑戦者として豊島竜王名人と七番勝負の真っただ中。

勝ち星こそ多くはないが、これは番勝負を戦う者の宿命だろう。

 

第1局・第2局ともに相矢倉で藤井七段が勝利し、渡辺棋聖はカド番に追い込まれている。

しかし渡辺三冠は、今までのタイトル戦でストレート負けを喫したことがないという無類の強さを誇る。

現代将棋界を牽引する一人として、またタイトルホルダーとして、藤井七段を迎え撃ってもらいたい。

 

本局で藤井七段が勝てば、初のタイトル獲得。

これまでの記録だった屋敷伸之九段の18歳6ヵ月を更新し、17歳11ヵ月でタイトル獲得最年少記録となる。

 

藤井七段の初タイトル獲得となるか。

はたまた渡辺三冠が根性を見せ、タイトル戦初黒星をつけるか。

 

記録だけでなく、戦型や、両者も言っていた内容にも注目して観戦したい。